2017年7月15日
山で働くということ5_日本の山の近現代史

今日は日本人がどう山と関わり、歴史の変遷の中で山の状態がどうあったのか、
そして、今に至るある現在の山林の状態の背景を理解して頂ければと思います。
前記事
歴史的に、日本の山の荒廃が危機的状況に陥った期間はざっくり4度ありました。
▼一度目 600~850年
奈良にはでっかい大仏が入る東大寺、全国には国分寺が次々と建立されていた頃、そしてそのちょっと前の平城京、平安京が作られた頃。
建築木材の需要が高まりや水田開拓のため、多くの木が乱伐され、主に近畿地方を中心として森林の荒廃が進みました。

▼2度目 工業の発展とともに
木材を大量に消費する産業が生まれてきました。「もののけ姫」で出てきた鉄を作るタタラ。中国地方を中心に製鉄産業が盛んになります。
そして、瀬戸内を中心に製塩産業が興ります。
製鉄や製塩など燃料として大量の木材が必要になりました。
局所的ではありましたがこれまで経験しなかった山林に対する資源の過剰利用により
産地周辺の山林は多大な負のインパクトを被りました。

▼3度目 武家社会
武士が心の拠り所としていた禅寺や仏像、住居、農民の水田開拓、
さらに戦国の世となると各領地内での築城や武器、治水灌漑事業、鉱山開発などで森の木が大量に使われました。
中世の人口の大幅な伸びに対応するため、当時の中心資源であった木材の需要は増すばかりでした。
江戸時代になってもその流れは落ち着きを見せず、森林資源は枯渇し、日本全国で「はげ山」化し、川の氾濫や台風の被害が頻発したという記録が残っています。

▼4度目 明治維新から戦後まで
このあたりからやっと、現在の山林の抱える問題と直接リンクしてきます。もう少し頑張ってお付き合い下さい。
近代産業の発達により燃料、建築分野での需要増、また対ロシア・清との戦争もありました。
明治中期にはこれまでの歴史上もっとも森林の荒廃が深刻だったと言う推定があります。
そして弱った森に追い打ちをかけた第二次世界大戦。
軍需造船、木炭、薪、杭木等。今まで手を付けなかった社寺林、防風林、風致林なども伐り尽くされ、終戦を迎えた頃には全国で木は伐り尽くされていたと言います。
森林資源量と反比例するように、森の機能が損なわれ、過去に類を見ない水害に見舞われました。
大戦で焼けた住宅の復興にも木材が必要となります。
そこで、やっとここで、国家再建の重要政策として荒廃地に全国一斉に植樹が開始されます。
植えられた木種は主に成長が早く、建築用材として利用しやすいスギ・ヒノキなどの針葉樹。
「拡大造林政策」が推し進められて行きます。
日本の国土が一気に緑化していくのですが、ここでセンスがなかったのは、成長に人の手を必要とするスギ・ヒノキなどの針葉樹のみを植えてしまったこと。
成長に時間は掛かるけれど、勝手に自然淘汰のなかで育つ広葉樹もバランス良く配置してくれていたら、現在山林が抱える問題はかなり軽減されていたはずです。
ともあれ、当時は戦後復興を満たすための材木がすぐにでも欲しかった。
林地の防災機能を高める事が急務であった。
また、山間地の国民に仕事が無い中で大規模な雇用を生む必要もあった。
致し方ない決定だったのかもしれない。両手放しで批判は出来ない当時の事情があったのです。
▼現在に続く問題
「間伐の遅れによる森林の荒廃」 「放置による森林の荒廃」
戦後、東洋の奇跡と呼ばれるミラクルな復興を成し得た日本。
その間も山では「拡大造林政策」によって一斉に植えられた木々は成長しています。
ところが、外国産の安い木材の輸入解禁。
さらに、家庭で日常的に煮炊きに使っていた薪や木炭から化石燃料へのシフト。
燃料としても建築用材としても、せっかく植えた木を使うこと無く、山は放置され、荒れていきました。
林業も衰退していきます。
イコール、山の手入れをしてくれる人がその姿を消していったと言うことになります。
そして現在、
間伐などの手入れが必要なスギ・ヒノキの山はか弱く、細々とした不安定な状態でその惨めな姿を晒しています。

平安時代から遡った、日本の森の危機は、伐り過ぎた事による危機でありましたが、
ここで強調したいのは、
現在の森の危機は木を使わなくなった事による、まったくニュータイプの危機なのです。
4つの歴史的な危機的時期を紹介してきましたが、この時代以外は使う分だけを伐り・利用し山と共生して来ました。
それが日本人が常としてきた、互恵的な山との関わりでした。
そんな遥か縄文時代から続くDNAを僕らは持っているはず。
そして、歴史的な過ちや、自然からのしっぺ返しも学んだはず。
里山や森林、それらとのもっと友好的な付き合いを取り戻してもいいと思う。
これだけは覚えておいて欲しい。
現在は、日本の木を使うことで山は輝きを取り戻すのだと。
まとめます。
間伐を頑張り山を守りますので、国産材を使って欲しいです!
これで一連の「山で働くということ」シリースは完結にさせて頂きます。
読むのも大変だったと思います。
最後まで読んでくれて有難うございました。 拝

弊社木成では山の資源をご家庭にと、薪ストーブと薪の販売も行っております。









